October 8, 2011

インタビュー5・・・森想Think!Forest

木工を始める前は、仕事で北海道から沖縄までの自然や森を見て歩いたという田澤祐介さん。佇まいのいい木の家具・小物を作っていきたいとおっしゃっている今にいたるまでのお話をうかがいました。

Q1.学生時代から木でのものづくりを考えておられたようですが、どのようなきっかけ(考えにいたるいきさつ等)があったのですか。
高校の頃、将来は何をやろうか、と日々迷っていました。ちょうど自然保護とか環境問題が注目されだした頃で。アウトドア雑誌を読んでいたら、ある人のエッセイに「これからの時代は森林だ、森林の勉強すると女の子にもてるよ~、」と書いてあったのを読んで。それを真に受けてしまい(笑)、学生時代は森林とか林業の勉強をしていました。

実習やら調査で森を見たり中に入ったりすることも多かったですし、ワンゲルに入っていたので、登山で森や自然に接する機会もありました。

そういうなかで、森とか自然の良さや大切さというのを実感して、森や自然を守ったり、良さを伝えて行けたら、と思ったのです。

あと、小さい頃から工作も好きだったので、家具作りや木工はどうだろうかとも考えました。それを通して森のことを伝えて行けたら、と。

ただその時、本当にやりたいことにいきなり飛び込んでしまうことに不安も感じて。本当にやりたいことは後にとって置いた方が良いんじゃないか、みたいな。

そう言うこともあって、自然環境調査の仕事をしていました木工をするまでは。その仕事もあちこちの森や自然を見ることが出来て、楽しい仕事でしたが。やっぱり一生やりたい仕事はこれじゃないな、と思って30過ぎてからですが木工の道に入りました。

ずいぶん違うことをされてたんですね、と言われる事もあるのですが、自分の中では同じ延長線上にあることと思ってます。どういうアプローチで森や自然のことを考えるか、それだけのことだと思っています。

もの作りというのは、木工に限らず、他の工芸的なことや、料理人なんかでもそうだと思うのですが、最も刺激的で自分が込められることだと思うので。その分、自分が出てしまうのが、怖いところでもありますけれど。

Q2.森想Think!Forestにはどのような背景、想いが込められているのでしょうか。
木で家具や生活の道具を作っている訳ですが、素材である木を扱うときに、それをただの材料としてとらえるのではなくて、かつてはどこかの森の中で樹として生きて立っていたと言うことを忘れないようにもの作りをしていきたい。そう思って付けました。

木で作ったものは良いものだと思います。ただ、実際に生活の中で使うときに、その材料の木が生えていた森のことまではなかなか想いが巡らないとは思うのです。必然性もないですし。

ただ、こんな屋号にすることで、手にとって使ってもらう方に、そんなことを時々思い出してもらえたらとは思ってます。この木が生えていた森はどんな所だったんだろうか、今どんな風になっているんだろうかと。

あとは、あれです。メメント・モリ(Memento mori)という言葉に引っかけたというのはあります。ちょっと大げさですが。

Q3.作品デザインに凛としたものを感じるのですが、デザインする上でこころがけておられることなどお話いただけますか。
「凛としたものを感じる」と、そう言ってもらえるととても嬉しいです。なんというか、声高に存在を主張するようなものでなくて、静かにそこに在る、そんなものを作りたいのです。

たとえば、家具で飾り棚だったら、棚そのものは主張しすぎない。ぱっと見たときには棚に飾ったものだけが見えている。落ち着いて一歩引いてみると棚も見えてくる。一見、目立たず主張してこないけれど、確かにそこに在って空間を作っている。そんな風にしたいと思っています。

暮らしの道具でもそうです。新しく手に入れて使い始めるうちに馴染んできて。いつの間にか日常の一部になって無意識のうちに使っている。けれど、ふとしたときにそれを使っていることにあらためて気付いて、いつも傍にあることに笑顔になれる。そんなデザインをしたいと考えています。

Q4.川口暮らふとには、どのような作品が並ぶ予定でしょうか。アピール、メッセージなどありましたらお願いします。
木の皿やトレーのようなものや、コーヒースコップとか。急須と湯飲みを組んで収納できるお茶道具箱なども持参するつもりでいます。あと、いま、新しくタオルラックのようなものも考えていて、なんとか間に合わせたいと思っていますので、是非、覗いてみてください。

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