October 14, 2011

インタビュー8・・・アトリエMORO

「焼物をつくることは草花を育てることによく似ている」とおっしゃっる秋谷茂郎さんにお話をうかがいました。

Q1.この道に進まれたきっかけを教えていただけますか。
もともと動植物がとても好きで、それらを相手にした仕事を考えていたのですが、その頃はバイオテクノロジー一辺倒の時代。理数系の苦手なことと、『触れない』ことに抵抗を感じて、ものを作り出すことが好きだったことから、この道に進みました。
さまざまな素材の中から、手で触れて形を変えて行く土という素材が、僕には合っている様に感じて陶芸の道に進みました。

Q2.うつわを制作される際、どのような想いをこめておられるのでしょうか。
独立したての頃は、周囲から『秋谷にしか出来ない個性的なものを』と求められ、変な気負いに縛られて迷走していました。
独創的なものを求める時代でしたが、疑問も感じていました。
工芸は、攻めるように作ることが出来ません。人が手を加えてそれにより素材が変化する、その繰り返しです。
自然(素材)を征服するのではなく、ともにひとつの形を目指す。
この仕事を続けるほど、強く感じます。
『土が出来る形』という制約の中で、こつこつと対話を重ねて生まれるうつわには、奇抜さはありませんが、やわらかく伸びやかで、静かな品を感じさせます。
毎日の食事のなかで、心地よく過ごしていただける手助けが出来ればと、手触りや口当たりの良さを大切に作っています。
是非、使っていただきたいです。

Q3.修行時代は毎日料理をお作りだったとか、料理とうつわの関係をどのように考えておられますか。
修業時代に師匠から『生命維持のためでなく、俺が美味いなあと喜ぶものを作るように』と言われました。
相手のために心をこめて作るものは、心をこめて作った器に盛りたい。
それがものづくりの基本です。
うつわは料理を盛り付けられて、初めて完成するとも言います。
だから毎日の食事の中で、ロクロの前でより良い形を考えながら作っています。

Q4.川口暮らふとには、どのような作品が並ぶ予定でしょうか。アピール、メッセージなどありましたらお願いします。
赤土に白化粧を施した『粉引』のうつわ、カップ・飯碗・小鉢を中心に、出展します。
焼物は焼きあがると硬く乾いた印象になりがちですが、しっとりとしたものを目指しています。
是非手にとって確かめてみてください。

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